先週8日の日曜日の特別講演会が無事に終わりました。
ご来場のみなさん、本当にありがとうございました。
大盛況でしたね。
武当山でやっていたエクササイズもいっしょにやってくださったり、
参加者のノリがとても良かったです。
今回の講演会は僕が壇上から一方的にお話をするのではなく、
インタラクティブにやりとりをして進行してみたのも良かったみたいですね。
今回のためにわざわざ遠くは新幹線でかけつけてくれた方もいたので、
うまく行ってほっとしています。
実は今回の講演内容を作り込んでいるときに気が付いたことがあります。
それは、ゆっくりな動きと早い動きの両方の理解が
知らないうちに増していた、ということ。
私が稽古をしているのは八卦掌と呼ばれる内家拳です。
これは特に素早い動きを要求されるのが特徴で、
見た目には、ゆったりとした太極拳と対局にあるような印象です。
しかし、はじめから早く動いてしまうと、細かいところが
いい加減になってしまうので、稽古の初期の頃は、
一つ一つの動きをきっちりと獲得したくて、
ディテールの練習のためにゆっくりと動いてました。
すると驚いたことに、師匠は「早く動け」と指示するのです。
動きがあいまいなうちにスピードを追いかけてしまうと、
粗くなってしまいいい加減になるので、
それなりに不満を示したりしても師匠はガンとして
聞き入れません。
ゆっくりとした動きは太極拳だけに許されたものでした。
仕方がないので、指示に従ってなんとか早い動きを
稽古していきました。
しかし、2ヶ月ほど経つと、自然と素早い動きが無理なく
できるようになってきていることに気がついたのです。
もちろん、ディテールはまだ粗いところもありますが、
とにかく、身体が素早く動くのです。
師匠はそれを見て満足そうでした。
そうしてここに来てようやく、師匠がディテールの解説を
するようになりました。
彼の狙いとしては、ディテールに入るよりもまずは
スピードを獲得して欲しかったようなのです。
ゆっくりも早いのも、両方知っていることで
はじめて八卦掌の動きの滑らかさや力強さや
細かさが身体を通して芯に伝わってくるのです。
一方、我々の日常生活でのスピードに注目してみましょう。
人はそれぞれの「ペース」を持って動いています。
そして、それをお互いになるべく崩さないように
遠慮しあうか、あるいは逆に邪魔をしたりし合いながら
生活しています。
ゆっくりした人はいつまでもゆっくりしていて
周囲の人にも迷惑をかけてしまいがちです。
周囲もたいがいせき立て役に回ります。
また、早い人はどんな時でも早く動きますが、
時にはおっちょこちょいな行動になって失敗を招く元にも
なります。
そんな双方の人たちのコミュニケーションとなると、
なかなかリズムが噛み合わなかったりで、結構、問題も発生します。
でも、少し現実社会を見てみましょう。
特にいまは世界的な不況を通過中です。
そんな時こそ、チャンスをめざとく見つけ、
俊敏に動くことが死活問題にもなってきます。
ここでのんびりと動いていては、チャンスが逃げて
しまうこともあるからです。
でも、かといって素早く動ければ何でもいいというわけ
でもありません。つまり、間違った動きをしていたら、
それなら何もしていなかったあるいはゆっくり動いていた方が良かった!
なんてことさえあるものです。
結局は、八卦掌の練習でも、両方の動きを身につけて
おくことがベストです。
なぜなら、状況は常に動き続けるものですし、
そのときそのときによって、求められるスピードはバラバラです。
そこを見極めるくらいの感性が必要になってきます。
ゆっくりを知っているから、素早さも知っている、
あるいはその逆もあり、というのが理想です。
反対の特性の動きを知ることは、すべてを知ることにつながります。
道教で使用されている陰陽図も、ふたつの対局するエレメントの融合によって、
はじめてひとつの世界が成立する、という哲学を表しています。
緩急の両方の特性を知ることは、さらに言うと、
自分のペースを越えた他人の理解にもつながっていきます。
【写真で振り返る講演会の様子 :ここをクリック】

Photo by Kaz
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フランソワ デュボワ。
東京在住。
作曲家・マリンバソリストと、キャリア教育の仕事をしています。