人の手

夕方、仕事の合間に、武術の稽古をしていたときのことです。
ふと、コンクリートの地面に目をやると、一匹のコガネムシがよたよたと
歩いています。

あまりにも弱っていたので、思わず「これはいかん」と思って
手元にあったペットボトルの水をこぼして、コガネムシが水を飲めるように
浅い水溜りをつくり様子を観察してみました。

水溜りの突然の出現に、コガネムシはしばらくじっとしていたので、
指でちょんと押してみると、ようやく飲み始めました。

しばらくすると、またじっと(あるいは、ぼーっと?)してたたずんでいます。
なんだか、だんだんと弱ってきているんじゃないかと
こっちは心配になります。

いっこうに水を飲みつづける気配がないので、気になって、ちょんと再び
背中を押してみます。
すると、思い出したようにまた水を飲み始めます。

稽古をしながら、ときどき、コガネムシの様子を見に来ます。
相変わらず弱弱しく、水を飲んでいるのか飲んでいないのか良く
わからない状態で、そのうち、水が乾いてきてしまいました。
新たに水を流してやって、背中をつつくと、また飲みだしました。

1時間半くらい、稽古をしながらコガネムシの様子をずっと観察していました。
そのうち、水を飲み終えてまたよたよたと歩きはじめます。
コンクリートのつづく場所から土のあるところまでは、
まだまだずいぶんと距離があります。
そこで、葉っぱを一枚拾ってきて、それをコガネムシの前に差し出すと
うまく乗っかってきました。
そのまま、土のあるところまで運んでやったのですが、
稽古のためにちょっと目を離した隙に、どこかでに行って消えてしまいました。

さっきまであれだけよたよたと歩いていたのに、突然消えたということは、
空を飛んでいってしまった可能性もあります。
とにかくあまりの早業にびっくりしてしまいました。

あのときのコガネムシが、僕の手によってあと何日かだけ命永らえた
だけかもしれません。
人間の手による手助けは、ときにはおせっかいだったり
邪魔だったり、あるいは役に立ったり。

人間社会とおなじだな、と思ってじっと見ていました。

自分ひとりではどうにもできないことが起こると
周りが協力をします。
そんな手助けの一つの手段として、
デュボワメソッドも存在することができたら
と思う出来事でした。

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