デュボワ・メソッド・ブログ

キャリア・デザインのトレーニングメソッド:「デュボワ・メソッド」にまつわる公式ブログ

新たな展開

先週、ある手紙が中国の武術学院(武当山)から届きました。
まさかこんなものを受け取るとは、夢にも思わなかったような内容です。

その内容の話をする前に、この1年半の間、自分がたどってきた道と
成長の話をしてみたいと思います。

日本の師匠である相良先生のもとで何年にもわたって
中国武術を師事したのですが、ある時期に内家拳の理解と習得に
集中するために武当山に行きたい旨を相談したところ、
快く承諾してくれました。

相良先生は、デュボワ・メソッドの開発協力者でもいらっしゃる方です。

そして、いざ中国に行ってハードな修行ができるような
素地をきちんと作り上げておきたい思いで、08年の1月から
個人稽古をつけてもらうようになったのです。

出発までの限られた時間の中で
相良先生には最大限のサポートをして頂き、
みっちりと訓練をさせてもらいました。

おかげで、個人稽古での上達は
自分でも良く分かるくらいすごいものがありました。

そうして、みなさんもご存知のように武当山に行きました。
個人稽古がなければ、きっと武当山での稽古もついていなかっただろう、
と感じています。
向こうで生活をしながら稽古にはげむので、
精神的な上下や、怪我、モチベースションの低下など
様座な問題が襲ってきました。

でも、つらい経験であればあるほど、
自分の天井や視点を押し広げてくれるものですね。
振り返ってみるとそういう働きをしてくれたトラブルは
たくさんあることに気がつきます。

さて、日本に戻ってからは、
武当山武術を少しでも知りたいと
メソッド受講生などから請われ、
今度は自分が教える立場に回りはじめました。

しかし、日曜の朝に稽古をしていると、ひざの故障のせいで
動きが思い通りにできないフラストレーションズを心に抱えて
悶々とする日々でした。

そして、少しずつ足もよくなってきたな?という時期に冒頭で話した
びっくりするような手紙が届いたのです。

そこには、我々のおこなっている稽古会の組織を
「武当道教功夫学院 東京分院」として正式に認める、ということと、
東京分院の代表として、僕に正式な肩書きを出すということが
書かれていました。

肩書きは「武当三豊派第十六代初代国際弟子」です。

一六代というのは、現在の武術学院を創設された大師匠が
三豊派の一六代目になります。
そして彼の存命中は、すべての弟子の系統に認められた者は
「第一六代」の肩書きがつくのです。

そして、僕もその流れに正式に認められた、ということになります。

これは、ものすごく責任重大なことです。。。

ことの重大さもあり、さっそく、相良先生にも相談し
第一六代としてしばらく武当山武術に集中する、という旨をお伝えし、
相良先生の道場は正式にお休みをすることになりました。

これからは、中国に行かない限り、一人で稽古を続けることになります。
これもまた自分にとっては大きな試練です。

この先、またどのような展開になっていくのでしょうか?
本当に未来のことは予測がしにくいものです。

一つだけ言えることは、中国から帰国して
いよいよ僕にとって、また新しいステージがまたやってきたということです。

この先の展開を見守っていてください。

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一難去って、また一難

実は、一部の人にしか知らせていなかった事実なのですが、
中国での修行から戻って以来、半月板損傷の痛みで右ひざに
激痛が走っていました。
あまりの痛みに、一時は歩くことさえできなかったくらいなのです。

正直言うと、心底焦りました。

中国で武術の修行を3ヶ月して戻ってきて、
心身ともにさらに逞しくなったことを喜んでいた矢先の出来事だったからです。
日本に戻ってひきつづき稽古に身を入れたら、ますます上達するだろうな、
あれももっとうまくなろう、これももっとやろうと、そしていつかあのレベルまで・・・
と自分に対する期待もありますし、目標を設定してどんどん前に進もうと
思っている人間にとって、身体の故障ほどショックなことはないのです。

似たような経験をされた方も多いのではないかと思います。

中国での厳しい修行を終えて日本に戻ってから
ある種の達成感を感じ初めていたところに
その感慨を吹き飛ばすような「試練」がやってきたと思いました。

整形外科でMRIを撮り、いろいろな治療を進めながら、
足を休めて、精神的にどうこれを乗り越えるかを日々試行錯誤しつつ
今日まできました。
様々な専門家に相談し、意見を求め、プロアマ問わずに直感的な
意見を聞いて回り、自分の身体の声を聞き、
何をどうすれば良い方向に向かいそうか、
心をオープンにしてたくさんの声を拾い集めていきました。

幸い、時間の経過とともに、痛みも少しずつ軽くなってきています。
正直言って、何が効いてきているのかはさっぱり分かりません(笑)。

自分の体験を通じても思うのですが、
どんな状況でもそのまま簡単に飲み込まれないこと。
そして、とにかく「なぜだろう?」「どうすればいいのだろう?」と常に
疑問を解決する姿勢を崩さないように心がけること。

修行で強くなったから、もう安心、なんていう
「おとぎ話」みたいな流れは、この世には存在しないな、と感じています。

人間は生きものだからこそ、心身の状態がつねに変化し続けるのですね。
興味深いものです。

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外に気を取られすぎないで!

一般的な話をすると
大自然の中で暮らす人よりも
都会暮らしの人の方が、
エネルギー量に劣ります。
活力、心の元気度、いろいろな測り方ができますが、
総じて弱いのは都会暮らしの人々です。

この差は、いったいなぜだか
考えたことはありますか?

もちろん様々な理由があります。
その中の一つで、みなさんがあまり気にしていない、
とても大きな問題があります。

それは注意力です。

都会暮らしのパターンを思い浮かべて見てください。
私も含めてそうですが、自分の周囲で
起こっていることに膨大な注意力を注ぎます。
世の中の動き、経済の動向、人々の健康や
心の状態、新しいアイデアのためのヒント探し、
新しい視点、社会の進歩のために、
日夜頭を捻り続けます。
そして、それには膨大な体力を使います。
外を観察して、外に向かって発信する
サイクルができてしまっています。

でも、そのサイクルを上手くまわずための体力をつける、
つまり英気を養うには、外ばかりに目を向けずに、
自分の内面をじっと見つめる時間が必要です。

例を挙げましょう。
組織の中で仕事をしていると、
同僚や上司、あるいは部下、
クライアントなどとトラブルが発生することぐらいあります。
お互いに理解し得ない事態が起こると、
まずはどうやったら相手に理解してもらえるか?という
道を探りはじめます。

この道探しは、とても重要です。
しかし、時として、問題も起こします。
というのも、自分とは視点を分かち合わない
人からすると、あなたの行動はただのじゃまにしか
映らない可能性もあるからです。

そんなときこそ、自分の内側に視点を戻すのです。

自分が本来到達するべき目的、
状況にとっての最適な回答や行動、
自分はどこまで関与するものか、
などを冷静に見つめる目を持つためです。

これは逃げとは違います。
問題を無視することが目的ではないからです。
むしろ、なぜ衝突が起こっているのか、
なぜ、うまく行かないのか、を冷静に判断するためには
まず自分の心の内側で静かに考えなおす必要があるのです。

そうすることで、エネルギーの無駄遣いもなくなります。

よれよれになるまでがんばってしまう人、
あるいはうつっぽくなってしまう人の中には、
これらの切り替えがうまく行かずに、
ずるずると人や状況に引きずり回されっぱなしの
ケースが非常に多く見受けられます。
注意力がどんどんと外に奪われていってしまっているのです。

私自身もストレスには決して強いほうではありません。
だからこそ、どうやって自分の内側に視点を戻すべきか、
ということを考えて、メソッドを確立したのです。
もしストレスに強かったら「ストレスってなんだろう?」
「どうやったらうまく対処できるんだろう?」などという発想そのものが
生まれてきません。

もっと柔軟に、敏速に、物事に細かく対処していくことで
救えるエネルギーがあると思いますし、
エネルギーの無駄遣いを失くすことができると思います。
何ごとも、訓練の問題です。

私も物事や人にこだわりすぎて、
本来の目的を見失ったり、
エネルギーの無駄づかいを見過ごしてしまうこともあります。

だからこそ、常日頃自分を振り返って、
意識をし直すことが大切だと実感します。

自分の注意力が外にばかり向いているな、
自分の内側にはまったく向いていないな、と
意識することが大切です。

心当たりのある人も、多いのではないですか?

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不和によるストレスを解決する

最近、ストレスの元について考えていました。

考え始めると、実に数え切れないくらいの
様々なストレスがありますね。
そんな中でも、仕事をしている・していないに関わらず、
あるいは都会暮らし・田舎暮らしに関係なく、
誰にでも共通しているストレスもいくつかあります。
その中の代表的なものが、誰かとの不和です。

不和と一言で言っても、いろいろです。
誰かと理解しあえない、
こちらの伝えたいことが伝わらない、
共感しあえない・・・・。
これらは大きなストレスのもとですね。

職場の上司が分かってくれない、
同僚との仲が悪い、
部下の誰もついてきてくれない。
こんな状況になると、同じ日本語やフランス語を
しゃべっているのに、ぜんぜん通じあわないイライラで、
よけいにストレスに感じてしまうのです。

さあ、あなたならどうしますか?

答えは、簡単でもあり、難しくもあるのです。

簡単というのは、やることは一つしかないからです。

自分を忘れるのです。

先週のテーマにも通じます。
自分、自分、自分、と、頭の中が自分でいっぱいになる前に、

●なぜ、相手が今のような態度をとっているのか?
●なぜ、相手があのような言葉を投げてきたのか?

など、とにかく自分がするのとは違う態度や言葉遣いをしてきた
相手の心や仕組みを理解するためには、
まず、自分を捨てる作業が一番です。

何か理解しがたい状況や、
うまく行かない状況が起こると、
僕はなるべく自分を忘れて、
状況や登場人物の立場になってみて考えてみます。

でも、そうなんです。
それがとても難しい作業なんです。
人生の中で、一番、難しい作業の一つかもしれません。

でも、希望はあります。
なぜなら、練習するという方法があるからです。
いや、練習あるのみ、と言うのが正確かもしれません。
楽器をうまく弾けるようになるには、練習をしますね。
運動がうまくなるには、やはり練習をしますね。
それとまったく同じです。

一番良くないのが、なにも意識せずに、
無為に時間を過ごして、
何度も同じ過ちを繰り返してしまうことです。
そして、毎回周りにイライラして、
さらにストレスを増大させてしまうことです。
それでは時間がもったいないですね。

練習の方法はいくつかあります。
例えば、呼吸をきちんとすることも一つの方法です。

え?なぜ呼吸と自分を捨てることがつながるのか!?
と思いますか?
そうですね。もっともな疑問です。

基本的に呼吸をすることを我々は学びません。
学ぶ必要がないと思っているからです。
なぜなら、生まれた瞬間から呼吸はできてしまっているので、
あえて「わざわざ学び直す」ものではないと思ってしまうのです。
歩き方をわざわざ学び直さなくてもいいじゃないか、
できるんだから、と考えるのと似いるかもしれません。
しかし、正しくない歩きかたのせいで背中がゆがみ、
身体全体がゆがみ、そして万病の元になる、
という考えはすでに一般に広く知られています。

同じく、呼吸も適当にするものではなく、
きちんと正しくすることで、酸素が脳や全身にくまなく届き、
意識や精神の状態に影響し、
そして日々の生き方や態度にも大きく影響をするのです。
これは、自分の認識能力にも大きく関わってきます。
意識した呼吸をくりかえすことで、
自分の現状をとらえていきます。
「あ、呼吸が速すぎる」「浅い」「不規則」などなど、
自分で分かる範囲で良いので、
少しずつ認識していきます。
そしてそれに伴う精神状態、意識の状態も把握していきます。
それが自己認識の力を養います。
武術や高度な音楽の訓練を積んでいる人であれば、
理解しやすいことだと思います。

最終的に自己認識能力が高い人が、
いわゆる「客観視するのがうまい」人ですが、
自分を忘れるとは、要は客観視する力なのです。

さらに詳しいことは言葉ではなかなかお教えできないので、
ご興味がある方はスクールを覗いてみてください。

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「私」を取る作業

僕のキャリアデザインのワークショップでは、
音楽や武術的なアプローチを取り入れているのが特徴です。

まったくの予備知識なしに参加される人は
その意外なアプローチ方法に面食らいます(笑)。

なぜ、キャリアデザインの講座に音楽や武術を取り入れているのか?
武術といっても、格闘技的な激しい動きは一切やりません。
気功や太極拳などのような穏やかな身体の動きばかりです。

それには明確な理由があります。

音楽や武術の修行をしたことがある人には
すぐにピンとくると思います。

まずは音楽を例に取りましょう。
音を奏でる時、いちいち自分の考えや思いや意味づけ
うんぬんを込めていると、重たくぎこちなくなったり、
鬱陶しいものになったりと、まったく使いものにならない
音になってしまいます。

ちょっと説明が難しいのですが、
音楽家の思いの丈が入り込みすぎた演奏や歌は、
本人が持っている才能に逆に蓋をしてしまい、
さらにオーディエンスには重たいものとして聞こえてしまいます。
結果的に、本来伝わるはずのものが、
伝わりにくくなったり、あるいはまったく伝わらずに、
耳をふさがれてしまう可能性まで出てきます。

今度は、武術の例を出してみましょう。

力の入りすぎた身体では、動きは緩慢になり、
鋭さを欠いてしまいます。
そうすると、それが対戦相手がいる場合だと、
相手に簡単に動きを読まれてしまいます。
それでは、武術として通用しませんね。

思いの丈がこもりすぎた音楽、
あるいは力のこもりすぎた武術の動きというのは、
どちらも本質は同じで、どちらの場合も本人の意図や
思いや考えが盛りだくさんのまま、
音や動きの質がかえって悪化してしまうオチが
待っています。

そこで、音楽や武術の修行を行う際に、
自分、つまり「私」の部分をなくすめの練習を積みます。
自分の意図や思いや考えが発生しないうちに音が出る、
身体が動く、というのは音楽や武術での究極の理想です。

実は、この究極の理想の部分が、我々の普段の生き方にも
とても重要な要素だと感じているのです。
だから、僕のキャリアデザインの講座でも
積極的に取り入れているという訳なのです。

例えば、何かの仕事をするにせよ、
そこで、自分の思いの丈や思惑などが大きく出すぎると、
仕事として結果的に失敗しやすくなる、というケースは
みなさんの身に覚えのあることではないでしょうか?
だからこそ、じゃまになるような「私」の部分を
なるべく控える訓練をつむ音楽や武術の手法は
非常に使えるのです。

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さようなら、Aziz

先週すでに知っていた知らせだったのですが、
少し距離を置いてショックを和らげるために
今日の話を書くのに時間が必要でした。

武当山でいっしょに修行をしていた兄弟子が、
2週間前に亡くなりました。

Azizというモロッコ人です。
私と同じフランス語を母国語にしている人で、
武当山についたばかりのころ、
向こうでの生活習慣や稽古のことなど、
いろいろと教えてくれた人でした。

いっしょに修行をしていた上海在住の
後輩から電話があって知った悲しいニュースです。

正直言うと、彼の突然の訃報でショックを受け、
とても悲しい気持ちにはなったけれど、
驚きではなかったのです。

というのも、彼が末期の腎臓ガンと肝臓ガンだったことは
修行仲間の誰もが知っていたことで、
いつか・・・という覚悟は何となくしていたのです。

彼は、有名な脳神経科学者のセルヴァン・シュレベール医師
(フランス人、元ピッツバーグ大学長)の学説を元に、
武当山に修行と治療のためにやって来ていたのです。

セルヴァン・シュレベール医師の説は私も非常に影響を受けた一人で、
メソッドにも応用をしているものです。
ドクターは、適切な健康法に基づいて生きる力を高め、
ガンなどの病気を克服する方法を紹介し、
実際にたくさんのデータで検証をしている人です。

Azizもまたドクターの説を実践するために、
自らの病を克服するチャレンジを選んだ人でした。
若い頃に散々身体をいじめるようにお酒を飲み、
身体を壊すほどの激しいスポーツを繰り返し行ってきたツケを、
どうにかしてきれいに精算したいと言っていたのです。

今までの生活の積み重ねが、病気となってあるひとつの
「結果」を身体に示していました。
去年のはじめにガンが見つかり手術をしたあと、
ガールフレンドの故郷である中国にある武当山に
ガンを治す手だてがある、という情報をつかんで、
はるばるやって来たのです。
武当山は、漢方薬学の総本山として
非常に有名な場所なのです。

中国全土で有名な王医師も、
ここ武当山を中心に活動をしていて、
Azizは彼の治療を受けていました。
医師は、本人がこれまでになくまじめに治療に励めば、
快方に向かうと信じていました。

私はAzizが健康を取り戻しつつある時期を知っています。
しかし、一方で、再び悪化しつつある時期も見ています。
誰かの健康が下り坂を転がっていく様を
黙って見つめなくてはいけないのは
本当に言葉では表現できない辛さと悔しさがあります。
少しずつ稽古に出なくなり、そのせいで練習量が減り、
寒いので自分の部屋に引っ込みがちになり、
食べ物の品質を気にしてみなと食事をせずに一人で
料理をして食べる、という風に、彼自身の生活のリズムが
細かいところから徐々に変化して行きました。

あの時、大勢の中で時間を共に過ごすこと、
大勢と食事をすることでそのグループの持つエネルギーなどにも
触れるチャンスを彼自らが減らしていったことを、非常に悔しく感じます。

そして、突然、モロッコに4ヶ月帰る、と言い出したのです。

それにはさすがの師匠も怒り心頭で、
本気でAzizを叱りとばしました。
真冬の武当山から、常夏のモロッコに突然行ったら、
健康体でも負担が大きいのに、彼のような病身では絶対に危険である、と。
気候だけでなく、生活リズムも、食事もなにもかもが
違いすぎる環境は、百害あって一利なし、だと。

最初は、Azizも大人しく師匠の言う通りにしていたのですが、
2週間してから再び「病院の検査があるから」という理由で
結局、モロッコに一時帰国する手続きに入ってしまったのです。

それを見て、師匠もなにも言えなく、なすがままにしていました。

それが一時帰国ではなく、結局は、彼の一生の帰国となってしまったのです。

武当山滞在のはじめの頃、Azizが私に向かって
言ってくれた言葉があります。

「もし、俺の体験が誰かのヒントになったり、
何かの役に立つと思ったら、使ってくれて構わない。
話してもらって構わない。」

そして、帰国が間近に迫っていたある日、
私の部屋でお茶を飲んでいたときに、
彼が話した内容が今でも忘れられません。

「俺は裕福な家に生まれた。いつでも、
何でも手に入ってきた。生まれた時に、
戦うための牙を研がれたんだ。
だから、俺も生きる戦いを誰からも
教わろうとしなかった。」と。

生きる戦いを教わらなかった。
そして、教わろうとしなかった。

生きるとは何か、病を克服するとは何か、
いろいろな側面から生きる意味や
そのために必要な膨大なエネルギーの量について
深く考えざるを得ません。

彼の冥福を祈ります。

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問題解決がうまく行く方法のひとつ

毎日、大小様々な問題をつきつけられる私たちは、
その度に頭を悩ませたり、ほっとしたりを繰り返しています。

どんな問題もできるだけすぐに解決して、
さっさと過去のものになって欲しいものですが、
そうも行かないのが現実ですね。

それに、過去と同じ問題に再度直面しても、
その時の時代性や状況の違いによって、
解決方法も前とは変化しています。

やっかいですね。

結局、すべての問題にはふさわしい解決の時間が
あると考えています。
即断即決で、その場できれいになる問題もあれば、
長い時間をかけて、じっくりと解決されていくものもあります。

実は、これは慶應大学の副学長から学んだものなんです。
ある時、彼のオフィスでおしゃべりをしている時、
今すぐどうにもなりそうにない問題があれば、
しばらく寝かせておいて、後日客観的な目ができあがった頃に、
もう一度戻ってくる、と彼が言ったのを良く覚えています。

この手法には、大小様々な大量の案件を抱えている人ほど、
賛同するでしょう。

ひとつ、具体的な体験談を挙げましょう。
中国から戻って来た直後、フランスに住む義理の兄
(=姉の夫)から電話がかかってきました。
姉弟同士で家族会議をやろうという提案です。
私の一番上の姉はアフリカの南東に、真ん中の姉はフランスに、
そして私は日本と、それぞれがバラバラの地域に住んでいるので、
3者で国際電話会議をしよう、ということになったのです。

案件は我々の両親の健康問題と、子供として決めておかなくては
ならない用件がいくつかありました。
さて、電話会議が始まって最初の10分はだいたい和気藹々とした
雰囲気ですが、そのうちだんだんと各の希望を話しはじめ、
ついには、お互いへの要求をはっきりと言う、
という何とも熱い議論となってしまいました・・・・。

私は家族の中で末っ子なので、
年次からするとあまり発言権も強くなく、
こういう時は黙って状況を見守るしかありません。
ただいずれにしても、何だか雲行きの怪しい方向に議論が進んでいき、
どうにも複雑で面倒な問題がさらに掘り起こされようとしていました。
とにかく、心配の種が増えたといった感じでした。

ちょうどその時、あの時の慶應の副学長の話を思い出し、
ここで下手に焦って動かずに状況を見守ってみようと思ったのです。

果たして、問題はするすると解決していきました。
自分でも驚きましたが、これは決して卑怯だとかずるい真似をした、
というのではなく、下手にかき混ぜると余計に混乱しそうだと感じた問題に、
「時間を与える」という選択肢を選んだのです。

特に、今回の問題は自分のものでもあるのですが、
同時に非常に遠いところでの出来事なので、
感覚的につかみ所がなかったのもありました。
だからこそ、余計に下手な動きはしないほうが全体のためにも良いな、
と感じとったのでしょう。

とにかく、問題が発生したら焦って一気に解決しようとしないこと。
なぜなら、問題ごとにそれぞれの時間の流れ方が違っているからです。

もし、問題解決がうまく行かないな、といつも困っている方がいたら、
まずはその問題に特有の時間の流れ方を観察してみるのも良いかもしれません。
きっと問題解決の手腕が上がると思います。

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伝えたいことを正確に伝えるために

芸術家として、他人の無理解に頭を悩ませてきたことがあります。
一般の職業と比べて、あまりにも目に見えにくい要素が多すぎることが
多くの原因です。
たとえば、若い頃、1日15時間の練習時間をとっていたのですが、
そんな私を怠け者扱いする親戚も少なからずいました。
当時はそんなことを言われて本当にショックだったのですが、
いま振り返ってみると、その理由がとてもよくわかるようになってきました。

それは、私のやっていることが彼らの定義する「仕事」の枠に
収まっていなかったからです。

彼らにとっての仕事とは、現金収入に直結することでした。
だから、私のやっていることの意味がさっぱり理解できなかったのです。
だけど、いま振り返って冷静に観察すると、なるほど、どうってことの
ない話です。

でも、この件があって以来、コミュニケーションの方法
そして自分の伝えようとしていることへの誤解が生まれないように、
いろいろと気を使ったり、工夫を重ねるようになってきました。

さて、この冬中国の武当山から戻って、またコミュニケーションの
難しさに直面していました。
厳しい修行や、極寒の冬山は多少なりとも理解してもらえるのですが、
山独特の雰囲気や、感覚、自分に向けられた猜疑心の話し、
稽古仲間と過ごす密な時間を伝えるのは、非常に難しいのです。

そこで、帰国直後にあることを思いつきました。
ちょうど、今から2ヶ月半前ですね。
それは写真と簡単な文で、武当山での出来事と心の動きを
流れるような形式で解説していくことでした。
それぞれのステージで起こったことや
そのときの心情を盛り込んでいったのです。

長い時間をかけて、ようやく写真集が完成しました。
私自身が撮った写真と文で構成されたそれを見て、
ようやくはじめて、私のあのときの気持ちにシンクロし、
共感してくれる他人が一気に増えました。
中には涙を流す人もいました。

伝えたかったことが、うまく伝わったのです。

でも、この写真集を作るのに、本当に時間がかかりました。
ようやく1週間ほど前にあがったばかりです。
でも、最終的に自分の言葉にならない体験や
伝えにくい感覚的なものを、少しでもうまく伝わるのは
本当にうれしいものです。
私と同じ体験をしていない他人の感情を揺り動かすことが
できたのですから。

同じように、「デュボワ・メソッド」の説明をビジュアルで
やろうということになり、同じく写真と短い文で、
成立の経緯や狙い、得られるものを紹介してみました。
手にした表現方法を応用しているわけですね。

そこでみなさんにも伝えたいことがあります。
もしみなさんも「伝えていることが理解されていない」と
イライラするようなことがあったら、
ぜひコミュニケーションの手段を見直してみてください。

手段はいくらでもあるはずです。
試してみる価値はありますよ。

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休むことを知る

プライベートであろうが、仕事であろうが、
何かを作り上げていくべき時、前に進むべき時というのがあります。

でも、一方で、手を止めるべき時、休むべき時、
何もしないでおくべき時というのもあります。

たしかに身体と頭を積極的に動かすのはとても大事です。
私自身もいつもそういうことを繰り返し言っていますしね。
でも、英気を養ったり、体力をつけるには
それだけでは足りないものです。

実はこの話は、私自身、身につまされることです。
というのも、仕事量が多く、集中力も要する毎日なので、
ついつい根を詰めすぎてしまうこともあります。

何もせずに、ぼーっとする時間はとても重要なのですが、
これが苦手なのです。

でも、これは本当に大事なのですよ。

特に重要な話をするわけでも無いけど、
友達とだらだらと他愛のない話をしてみる。
頭をからっぽにすることは、
時に新たなものが入る準備をすることになります。

怠け者すぎる時は、このだらだら状態が際限なく続き、
結局、人生も一歩も前に進まないことになってしまいます。
でも、まじめすぎて前に進むことばかり意識して生きていると、
これは有意義か、あの時間は意味がない、
それでは生産性が悪い、などとすべてをそんな調子ではかって見てしまうのです。

だいたいの人はどちらのケースにも、思い当たる節があると思います。

一番大切なのは、人間はどちらの面も持ち合わせてる、
ということを受け入れることです。簡単ではないかもしれません。
私だって、ようやく「そうだよね。走りっぱなしでは効率が悪いよね。」
と納得しはじめたばかりですから(笑)。

無為に時間を過ごしてみる、というのは、
効率や合理性が最優先される現代社会では非常に難しい課題かもしれません。

でも、我々は機械ではないのです。
多くの場合、人は不調や病気の兆しを認めない限り休んだりしません。
でも、そんなものを待ってからでは、実は遅いこともあるのです。
なぜなら、症状が表だってでる、ということは内部ではかなり進行していて、
回復にもそれなりの時間を要してしまうことの印だからです。
そうするとかえってすべての動きが遅れてしまいますよね。

どこで見切りをつけるかを知るのも
賢く止まらずに前に進む生きる知恵です。

みなさん、GWはちゃんと休みましたか?

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物理的な成功の次に見えてくる、別の類の成功

先週のブログで2種類の成功の話をしました。

今日はその続きです。

周囲の目には触れにくい成功というのが
あります。
つまり個人的な思いや感情、
目標を到達したときに、
ああ、成功したな、と個人的に実感
するものです。
充足感や幸福感は、個人的なものなので
必ずしも表には現れないし、
周囲の人にも気が付かれないものが多いです。

今だから正直に言えますが、
僕もかつて若い頃、音楽家として
誰の目から見ても分かりやすい成功を
夢見ていた一人でした。
つまり、有名になってお金持ちになる、
というパターンです。

その理由の一つに、親戚中からの軽蔑がありました。
叔母たちからの「あなた、いったいいつになったら
大人になって、まっとうな仕事に就くのかしらねえ?」
という非難がましい声がいつでもついて回っていたのです。
これは20代の後半まで続きました。

そんなわけで、親戚中が集まっての食事は、
毎回悪夢でした。

そして、28歳ではじめてメルセデスSを買った時は、
親戚中の顔つきが変わりました。

自分を誇らしく感じました。
これが、僕なりの復讐だったのです。

しかし、昔、本でも書いたことがあるのですが、
ある時、このメルセデスで街中を走っていると、
犯人を追いかけている最中のパトカーに後ろから促され、
この車体では通れもしない細い路地を無理矢理突き
進まざるを得ない状況に陥りました。
警察は銃を手にして「はやくしろ!」と
けしかけてくるし、車は絶対通れるはずがないし。

しかし、警察の命令にこちらは選択の余地はなく、
そのまま車を直進させると、見事に車体の左側を
こすり大きな傷をつけてしまいました。

どうしようもないこちらの状況を見て、
警察は僕と車を放ったらかしにして、
さっさとUターンをして他の道を探しに走り去ってしまったのです。

傷ついた車と僕だけが残されました。

ちょうどその日は、ある大事なコンサートを
大成功させて日でした。
その時、高い車なんかよりもコンサートの成功の
ほうがはるかに大事なんだ、ということを心から実感しました。
車なんてしょせんただの鉄の塊で、それよりも
たった一つのコンサートの成功には、何年にもわたる
個人的な努力を要するものだからです。

そして、少しずつ僕の中での価値観が変化していきました。
お金をたくさん得て地位を獲得することが成功を意味しなくなり、
それよりも、人々に充足感や満足感を贈りたいと
思うようになっていったのです。人の心の中に残る何かを贈りたい、と。
こうして、僕の考え方が成熟していき、
やがてデュボワ・メソッドの基礎をなすことになるのです。

僕の個人的な体験を通じてお伝えしたかったことは、
あなた自身が満足したり充足感を感じたりする道を
見つけることが重要だ、ということです。
その道を通じて、あなたがどれだけ豊かな気持ちになれるか。
車の塗料のように、簡単に剥げてしまわないようなもの。

目につきやすい成功ばかりを追いかけてしまうと、
浅はかな心や弱い者の感心を集めるための
「あれ」や「これ」をかき集めることに人生が終始してしまいます。
しかし、その課程で見つけた何気ない小さなものを
見落とす可能性が高くなります。
もしかしたら、その小さなものが、実はのちのちに
大きく化ける鍵であるかもしれません。
そして、あなたの将来が大きく変わるきっかけだったかもしれません。

個人的には誰かを幸せな気持ちにすることができる
人をとても尊敬します。
そういう人をモデルにすることで、きっとあなたの人生も
良い方向に進み、ご自身で納得のいく成功が見つかると思います。

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